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乳がん検査を受けよう!② 臨床検査の現場から~リアルな検査の裏話

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私は臨床検査技師として、数えきれないほどの乳腺エコー(超音波検査)を行ってきました。

前回の記事では乳がんについて、乳がんの検査について解説しました。

乳がん検診を受けよう!乳がんは早期発見が可能な病気です日本において、乳がんは増加の一途をたどっています。 今や11人に1人が発症すると言われている乳がん。 比較的若い年齢で発症するのもこ...

そして今回は、私が臨床検査の現場で経験した裏話などをお話ししたいと思います。
乳がんのについてはもちろん、医療現場、しかも検査における普段知られることのないリアルな現場のエピソードがたくさんありますので、どうぞお付き合い下さいね。

骨の成長?

乳腺エコーのために来院した患者さん。
「胸にしこりを見つけて近所の内科を受診したら、骨が成長してるだけだから問題ないよって言われたの。そんなことあるかしら?どうも不安で、このクリニックにも来たのよ」とのこと。
骨が成長?・・・んなわけないだろっっ
どこのヤブ医者だ!?
私が触っても一発でわかる、そしてエコー像も、典型的な乳がんのしこりでした。
その方は大学病院に紹介され、その月の月末に手術が決定。

へんなヤブ医者の言うことを信じてそのまま放置していたら、
手遅れになっていたかも・・・ と思うと、コワすぎる!
医者選びは、重要ですね。。。

女性ホルモンと乳がん

ずっと若さを保っていたいという理由で、生理を持続させるために女性ホルモンを接種し続けてるという60代女性の乳腺エコーをやったことがあります。
その方の乳腺には、「のう胞」と言われる水ぶくれが多数あり、がんを否定できないものもありました。
これは、女性ホルモンの影響によるものです。

また、乳がん患者が妊娠すると、がんの進行が早まってしまう恐れがあります。
これも、女性ホルモンの影響で、妊娠により多量に分泌される
女性ホルモンが、がんの栄養源になってしまうからです。
なので、出産をご希望の方は、その前に一度乳がん検診を受けることをお勧めします。

授乳中の乳がん検査

「授乳中だけど検査は受けられますか?」という質問もよくいただきます。

エコーに関して言えば、検査は受けられます!
ただ、乳腺内では母乳が作られているため乳管が拡張して描出されるので、当然正常所見ではなくなります。

そしてそれは、
「がんにより乳管が詰まって拡張している場合との鑑別が難しい=がんではないとは言い切れない」
という表現にもなってしまいます。

・・・ということを了承していただいた上で、私は検査を行っています。

そして、授乳終了後数ヶ月過ぎてもう母乳が出ない状態になってからもう一度検査を受けることをお勧めしています。

だったら、授乳が終わってから受ければいいじゃん?
・・・・というものでもありません。
確率は低いけど、授乳中でも乳がんにならないとは限らないからです。

授乳中には母乳が乳管に詰まる「乳腺炎」によるしこりがよく出来ますが、しこりが乳がんではないとは言い切れないのです。
万が一、そのしこりが「がん」だったら、授乳終了後まで待っていたら手遅れになってしまう可能性も出てきてしまいます。
なので、授乳中でも、何かおかしいと感じたら、迷わず受診して下さいね。

授乳中だと言ったら検査を断られた、と言っていた友人がいます。
そんなことあるの!?と思いましたが、確かに授乳中は胸が張っているため、マンモグラフィーだと受けるのはちょっと辛いかも。
とはいえ、病院側が検査そのものを断るというのはどうよ??
どこの病院かは知りませんが。。。
いつでもどんな時でも、気になったら検査は受けて下さいね!

豊胸手術後の乳がん検査

豊胸手術をした女性の検査も数多くやっています。

有名人の方も何人か・・・
撮影のために受診して豊胸手術後とわかり、まずは撮影スタッフにどう言うべきか、ご本人の了承を得なければ!となったこともあります(;^_^A

豊胸手術には色々な方法があり、シリコンバッグを埋め込む手術だったり、今では自分の身体の脂肪を採取して胸に注入する、という方法もあります。
自分の細胞だから安心らしいです。

豊胸しても、エコー検査は問題なく受けられます。
でも、受けられる、というだけで、豊胸部分ばかりが画面にうつって実際の乳腺が見えなくなり、診断がつけられないことが多々あります。
マンモグラフィーにいたっては、検査を断る病院もあります。
マンモグラフィーはガラス板で胸を挟んで伸ばすので、異物があるとそれが出来ないからです。
いずれも、乳がんの発見が遅れがちになります。

豊胸手術は、それらのリスクをよく理解した上で行って下さいね。

男性も乳がんになる?

乳がんは、男性も発症するんですよ。
だって、男性にもおっぱいあるでしょ?
もちろん、男性の乳がんは本当に稀で、全乳がん患者の0.5~1%という少なさです。

私は乳腺の超音波検査を数多くやってきて、乳がんの方もたくさん検査してきましたが、私はまだ男性の乳がんは見たことがありません。そのくらい低い確率です。
腹部エコーのために来院された男性患者さんが、「昔乳がんの手術を受けた」と言っていたことは一度だけありますけどね。

また、現在男性の乳がんの検査もやったことはありません。

現在男性の検査は、ね。。。

えっと、
昔男性だったという方の乳腺エコーはやったことがあります。

いやー、とってもキレイな方で元男性だなんてちっともわかんなかったよ!
実際に超音波をあてると、豊胸手術をした胸であることはわかったけど。
その方は、乳がんのリスクを理解した上で性転換の手術を受けたそう。
すごく固い固い決意だったそうです。
女性になるためにやったこと、その覚悟など、検査中に私に話してくれました。
今、どうしてるかな~~

男性で乳がんになる確率はすごく低いけど、女性ホルモンを摂取することで男性でも乳がんになる確率は上がります。
なので、特にニューハーフの方は、乳がん検診を受けて下さいね。

検査には、いろんな方がいらっしゃいます。
でも、私たちは、どんな人でも同じように検査をします。
だから、みなさんも、必ず、乳がん検診は受けてほしいと思います。

乳房を摘出するということ

もし乳がんになってしまったら・・・

そのがんの進行の程度によっては、部分切除(乳房温存術)ではなく、全的を余儀なくされる場合も。
転移や再発の不安ももちろんですが、乳房を摘出することに対する悲しみや恐怖もあると思います。

メディアでも、街角インタビューなどで、乳房全摘について「女性としてショック」「女性じゃなくなるみたいだからイヤ」といった意見ばかりクローズアップされるけど、本当にそうでしょうか?

私自身も経験がないため、そんな患者さんの気持ちを100%理解出来るわけではないけれど、でも、職業がら、乳がんにより乳房を全摘した患者さんの胸を数え切れないほど見てきました。

両胸とも全摘された方。
肋骨までえぐれるほど深く切除した方。
ケロイドのような傷跡になってしまった方。
検査前に「あの・・・私の胸を見て、ビックリしないで下さいね」と言われたこともあります。

で、実際に検査のために服を脱いでもらい、胸を見るわけですが・・・
一度もビックリしたことはありません。
胸がなくても、こうして元気で生きていられる。
それが何よりも素晴らしいことだと思うから。

確かに温泉やプールに入るのは躊躇してしまうかもしれない。
切除前に比べたら出来なくなることもあるかもしれない。
それでも、元気で生きていられることの方がいいんじゃないかと、私は思うのです。
だから、かわいそうだとは思えず、元気になってよかった!と思うのです。

私の知り合いに、温存手術という選択肢がありながら全摘を希望した人がいます。
再発のリスクを最小限に抑えるため。
もちろん、その人は手術から10年以上経った今もバリバリ元気ですよ!

実際、全摘された患者さんで、全摘したことを後悔してるという方には一人もお会いしていません。

でもやっぱり何よりも定期的に検診を受けることが一番!

もちろん、定期的に検査を受けても見つかりにくいこともあります。
100%防げるものではありません。
それが、今の医療の限界なのです。
それでも、検査を受けないよりは、早期発見の確率は格段に上がります!
なので、みなさんも、乳がん検診受けてくださいね。

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